老犬の介護食のきほん

老犬の介護食を作るうえで、1日に必要なカロリーを
知ることはとても重要です。
それぞれの愛犬の体重とライフステージや活動状況によって
必要なカロリーは変化するからです。

まず、下の表はRER(Resting Energy Requirement)と言って
犬が安静時に必要なエネルギーの体重別の必要量です。
ほとんど運動しない超高齢の犬に当てはまります。

kg kcal kg kcal kg kcal kg kcal kg kcal
1 70 11 423 21 687 31 920 41 1134
2 118 12 451 22 711 32 942 42 1155
3 160 13 479 23 735 33 964 43 1175
4 198 14 507 24 759 34 986 44 1196
5 234 15 534 25 783 35 1007 45 1216
6 268 16 560 26 806 36 1029 46 1236
7 301 17 586 27 829 37 1050 47 1257
8 333 18 612 28 852 38 1071 48 1277
9 364 19 637 29 875 39 1092 49 1296
10 394 20 662 30 897 40 1113 50 1316
RER早見表

RERの表から愛犬の体重に当てはまるカロリーを
選びます。例えば、5キロの老犬の場合、RER表から当てはまる
カロリーは234kcalになります。

そして次に下の補正係数表から、当てはまる係数を
掛けていきます。例えば5キロの老犬でほぼ寝たきりの場合
0.8として計算します。

安静・寝たきりの成犬 1
離乳・成長期(生後4ケ月まで) 2~3
成長期(4ケ月~成犬) 1.5~2
去勢・避妊していない成犬 1.6~1.8
去勢・避妊している成犬 1.4~1.6
妊娠時 1.8~3
授乳期 4~8
高齢犬 0.8~1.4
使役犬・スボーツドック 2~8
補正係数表

234kcal × 0.8 = 187Kcal
1日の寝たきりの老犬は、187Kcalが最低必要カロリーとなります。
これを4~5回に分けて、状態を見ながら与えていきます。

介護食の栄養素と割合とは?

1日の必要なカロリーは計算から分かりました。
では、必要な栄養素と割合は、どんなものでしょうか。

犬の手作り食の場合でも、必要な栄養素は変わりません。

  1. タンパク質  肉・魚の動物性、大豆などの植物性のたんぱく質で
           筋肉・血液・内臓・皮膚・被毛をつくります。
  2. 炭水化物  穀類・野菜・果物などで糖質が主成分で
          体を動かすエネルギー源です。
  3. 脂質  動物の脂や植物油などで、エネルギーを作り
        脂溶性ビタミンの吸収を助けます。 
  4. ビタミン 野菜や果物にふくまれており、他の栄養素の働きを
         助け体を正常に整える
  5. ミネラル カルシウム・マグネシウム・リン・鉄分など
         血液・歯・骨などを作るのに必要なもの。 

      これらの栄養素をバランス良く取るために

      ①肉・魚を選ぶ →②野菜を同量、もしくは倍量にする
      →③炭水化物(米・パスタ・果物・いもなど)を0.5程度入れる
      →④トッピングとしてオメガ3などの脂肪酸を入れる

      大雑把に言うと、こんな感じになります。

      成犬の1日たんぱく質の摂取量は
      4.3~5 × 代謝体重(体重kgの0.75)  です。
      1時間程度の散歩の老犬は × 1
      運動量の多い老犬は   ×1.2
      ほぼ寝たきりの老犬は  ×0.7 

      例えば、ほぼ寝たきりの5キロの老犬の場合
      4.3 × 3.75(5×0.75の値) = 約16gのたんぱく質が
      必要になります。16gのたんぱく質がどれくらいの量になるか
      示したものが次の表になります。

      食材 g kcal 食材 g kcal
      牛肉ロース 89 215 手羽先 91 193
      牛肉もも 76 137 手羽元 88 172
      豚ヒレ 70 81 71 97
      豚肉ロース 83 218 サバ 77 156
      豚肉バラ 113 435 さんま 87 268
      豚肉もも 78 143 まぐろ 60 75
      ささみ 70 72 あじ 78 93
      胸肉 72 78 カレイ 82 78
      鶏もも 85 99 ひらめ 76 94
      16gのたんぱく質の目安

      鶏のささみ肉の場合、70gは1本弱ほどの量になりますので
      これに小松菜などの野菜と、かぼちゃやちりめんじゃこなどを
      トッピングし、亜麻油をたらせば完成します。

      流動食にする場合は、焚きあがった手作り食を
      更にブレンダーにかけて完成です。

      スープの味変や食材のローテーションなどで
      飽きの来ない介護食を作れると、愛犬も更に元気になれますよ。



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